A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「ったく・・・どいつもこいつも」


 態勢を低くして、彩は身構えた。


「ほう・・・俺に立ち向かうか」


 アヤカシは、いかにも面白そうに笑う。


「本当に人間は、面白い。勝てる可能性は微塵もないと分かっていても、最後まで足掻くか」
「足掻く・・・いい言葉だな。強いて言い替えるなら、悪足掻き、だな」


 彩はふっと息を吐く。
 悪足掻き、大いに結構。
 人間を、友香を。
 美樹を、そして悠と諒を。
 これほどまでに翻弄する、このアヤカシに。


「せめて一発お見舞いしないと、あたしの気が済まないんだよ!!」


 彩は、跳んだ。
 アヤカシは眉ひとつ動かさずに、彩を真正面から迎え撃つ。
 彩の全力を尽くした攻撃は、その右手一本で食い止められた。


「何のためにそこまで自分を犠牲にする?」
「悲しみも知らないお前には、永遠に理解できないだろうね」


 次の瞬間、彩の身体は弾き飛ばされた。
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