A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「・・・そんな目で、何を見ている?」
「哀れんでるんだよ。可哀想な奴だってね」
「それはそれは・・・その状況で、よく他人の心配なんか出来るね」


 空間の歪みが増す。
 同時に、美樹を覆っている結界の様子が変わった。
 みるみるうちに、半透明だった結界が濁っていく。


「やっと、か」


 和也は結界に向き直る。


「美樹!!」


 彩が叫ぶ。



☆  ☆  ☆



 結界の中で、美樹は声を殺さずに泣いていた。
 優しかった美樹の両親。
 アヤカシから美樹の存在を隠すためずっと力を使い続けていた母親の生命力は、もう限界だった。
 そんな時に、アヤカシに襲われたのだ。
 その事実が分かり、美樹は叫び続けた。
 何が普通の人間だ。
 何が幸せだ。
 もっと一緒にいたかった。
 幸せに育ててくれた分、もっともっと、両親を幸せにしてあげたかった。
 ――・・・なのに。
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