A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「知らない方が幸せだなんて・・・親のエゴね。だけどもう、あなたには分かるはずよ。美樹、あなたにはまだ大事なものがあるってことを・・・ね?」


 小さい頃によくしてもらった、髪の毛をいとおしそうに撫でる仕草。


「大事な・・・もの?」


 美樹は、母親を見上げる。
 その肩の向こう側に、二つの人影が見えた。


「俺達は・・・お前を信じてる・・・美樹」


 少し照れ臭そうに。
 美樹は笑う。


「ふふっ・・・そんなキャラだったっけ、諒くん?」
「そう言わないで。それに俺も信じてる・・・美樹ちゃん」
「悠くん・・・」


 美樹はもう一度、母親を見る。
 微笑みを浮かべて、こっちを見つめ返していて。


「これだけは分かってね。お父さんもお母さんも、ちゃんとあなたの側にいるのよ・・・さあ、行きなさい」


 母親は、だんだん遠くなっていき。
 最後まで触れていた手が離れたとき、その姿は見えなくなった。
 美樹は、真っ直ぐに前を見つめる。


「彩・・・!!」
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