A-YA-KA-SHI☆バスター!!
 そして美樹は、和也の方に向き直った。


「・・・お礼を言おうかな」


 和也は頬を押さえたまま、上半身だけ起こす。


「ずっと知らなかったこと・・・ちゃんとわかった。そして、わたしが幸せだったってことも、ちゃんと再確認できた・・・それとね、もう一つ」


 美樹は、和也に歩み寄ると、すっと手をかざす。


「わたしの力・・・ちゃんと、理解できた」


 にっこりと笑って。
 彩を促すと、美樹は和也に背を向けて歩き出す。


「隙だらけだな。もしかして俺の能力を侮ってる?」


 和也は起き上がると、意識を集中させた。
 だが、何も起きない。
 美樹はゆっくりと振り返る。


「あなたの力、もうないの。わたしが、あなたには力がない方がいいって思ったから」
「あ~、ついでに言っとくけど、あたし、まだあんたを許した訳じゃないからね。お望みなら、ケンカくらいは買うよ。その代わり」


 彩は、指をポキポキと鳴らす。


「容赦なく、ボコボコにしてやるからな」


 和也は、その場に座り込んで項垂れた――。
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