A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「美樹・・・完全に、覚醒したのか?」


 彩が問い掛けても、美樹は目を伏せて黙ったままだった。
 埠頭に誰もいなくなる頃には、もうすぐ朝日が昇る時間になっていた。
 だんだん朝焼けに染まっていく海を、美樹と彩は並んで見つめている。


「綺麗だね、彩」
「・・・うん」


 こんなに綺麗な朝焼けの景色を見ても、彩の表情は曇っていた。
 一緒にこの景色を見たかった二人は、もう、この世界の何処にもいないのだ。
 それをわかっているかのように、美樹も黙っていた。
 そして、おもむろに彩を見つめる。


「あのね、彩・・・」
「ん? ・・・何?」


 潮風に吹かれながら、彩は美樹を見る。
 美樹は真っ直ぐに、目の前に広がる海を見つめていた。
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