A-YA-KA-SHI☆バスター!!
 歩き出してしばらくしてから、彩は口を開く。


「あのさ。いつまでも、心配して様子なんて見に来るなよ」


 その言葉に、諒は立ち止まった。


「あたしはもう、大丈夫だからさ」
「・・・」


 諒は、振り向いて彩を見つめる。
 そして一言、


「それも、知ってる」


 とだけ答えた。
 そしてまた歩き出す。
 いっそう強く風が吹き、とうとう雨が降りだしてきた。


(その『知ってる』っていうのもなんかムカつく)


 何でそう簡単にあたしの事が分かるんだよ、とか思いながら、彩もまた歩きだした。


「・・・さっきの女の子達さ、あたしに『お友達になってくださ~い』なんて言うんだよ」


 雨がだんだん強くなってくる。
 それでも、彩は急ぐ様子はなかった。
 諒も前を歩いているはずなのに、彩に歩調を合わせるかのようにゆっくりと歩いている。


「思わず『いいよ』なんて言っちゃった」


 友達にはなれないことは分かっている。
 自分に関わると、その人にも危険が及ぶから。


(そのせいで、あたしは大切なものを失った)


 忘れることは、一生できない。
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