A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「・・・はぁ・・・」


 ため息をついて、美樹はリビングのテーブルに突っ伏した。
 誰もいない分、静かなせいか、色々と考え込んでしまう。
 どうして彩は、二人が出掛けるのをあんなに嫌がったのか。
 そんなことを考えていると、あまりに静かなので、何故か自分の心臓の音だけが心なしか大きく聞こえてきた。
 ・・・どくん、どくん・・・。


「・・・?」


 また錯覚だろうか?
 目の前が霞んだ。
 ――いや、霞んだんじゃない。見慣れたはずのリビングが、何故か歪んで見える。
 同じ世界が二重、三重に見えた。


「何?」


 美樹は思わず立ち上がる。
 しっかり立ち上がれるから、足元が揺れている訳ではなかった。
 だけど目をこすっても、何回瞬きしても、歪んだ世界は変わらない。
 言い現せない怖さが込み上げてくる。
 その時何かが、家の中に入って来る気配を感じた。
 ――・・・まさかとは思うが。


「アヤカシ・・・じゃない、よね?」


 半分は、自分に言い聞かせるように。
 だって、アヤカシが動くのは夜なはず。
 でも何で、こんな時に。彩も悠も諒も、誰もいない時に・・・!
 その場から逃げようとするが、怖さのあまり体が動いてくれない。
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