A-YA-KA-SHI☆バスター!!
☆  ☆  ☆



 気持ちいい風が吹いていた。
 真夏の暑さも、ここに来れば少しは和らぐ。
 美樹は、ここから見おろす海の景色と『free‐time』のコントラストが大好きだった。


「ありがとう」


 潮風に吹かれる前髪を押さえながら、美樹は言った。
 驚いたように、彩は美樹を見つめる。


「なんだよ、いきなり」
「うん。私、何も知らなくて・・・何も出来なくて」
「そりゃ・・・友達、だから・・・さ」


 彩はぼそっと、一言だけ言った。


「あたしにはよく分からないけど・・・そう言うもんなんだろ? 一緒に頑張ろう、ここを凌ぐまで」


 彩の言葉に、美樹は頷いた。
 あまり勝ち目はないけどね・・・中空を見つめながら、心の中で彩は呟く。
 自分の攻撃は、全く通じない。
 さっきの一撃で、彩はそれを理解していた。
 相手の方が断然格上だ。
 だが、今は何としてもやられる訳にはいかない。
 美樹を、守るために。
 でも、もし自分1人なら・・・あるいは、ここで自分自身を 終わらせることも出来たのかも知れないが。
 そんな考えを打ち消すように、彩は軽く首を回す。
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