A-YA-KA-SHI☆バスター!!
「やっぱ、初めはボロボロだったかなぁ・・・」
「ショックで?」
「ううん、その逆。むしろあたし、力があるってのが分かって、嬉しかった」


 グラスの氷が、カランと揺れた。
 何かを思い出すように、少し悲しそうに笑う彩。
 それから彩は、窓の外に目を移す。


 小さな頃からずっと、普通の人間よりも優れた運動神経を持っていた。  
 優れた・・・というより、化け物じみた能力。
 幸いなことに悠と諒が、周りにバレないように彩をたしなめていたから、学校にはその能力を知られることはなかったが。
 彩にはそれが、納得出来なかった。
 どうして、バスケットのゴールに向かってジャンプしちゃいけないのか。
 どうして、百メートル走で1着になっちゃいけないのか。
 今考えると当然だが彩の両親も、彩が何か他の子供とは違うということを知っていた。
 だから彩の父親は会社が終わったあと、よく誰もいない河川敷に彩と悠と諒を連れて行って、思い切り遊ばせてくれた。
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