A-YA-KA-SHI☆バスター!!
 どんなに早く走っても、どんなに高く飛び上がっても、誰も文句を言う人はいない。
 子供3人が元気よく遊ぶ光景を、彩の父親は嬉しそうに見つめていた。
 そして、高校二年生の冬。
 帰宅部だった彩は、授業が終わると珍しく一人で遠回りをして帰る途中。
 子供の頃よく遊んだあの河川敷に差し掛かった時、ふと、河原に一人の子供がしゃがんでいるのを見つけた。


「おーい、誰も遊び相手、いないの?」


 どこか寂しげなその子を放っておけなくて、彩はそう声をかける。


「お姉ちゃんが遊んでやろうか? あ、でももうすぐ暗くなるから、少しだけだけど。ウチの人が心配するだろ?」


 昔よく遊んだ場所だから、半分は懐かしいような気持ちで軽く声をかけたのだが。


「少し・・・だけ・・・?」


 ショートカットの男の子。
 膝を抱えてそこに顔をうずめているから、その表情は分からない。
 だが彩が近付いたその時、男の子はいきなり立ち上がった。
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