あなたはまるで刃物のように...
私の名前は野山なつき。
結婚適齢期真っ只中の25歳。
目の前でアグラをかきながら携帯をいじり、淡々と食事をしてるのは恋人の佐々木新一。
付き合って3年、同棲半年。
籍はまだ入ってない。
でも、いずれは入籍するんだと思う。
別に結婚するのが夢とかそんなんじゃないし
ドキドキしてるわけでもない。
ただ、何となく
この人と入籍するんだろうなぁと漠然と考えてるだけだ。
「おい、なつき。聞いてんの?」
「え?ごめん…何?」
食べかけた箸を置いた。
まぁ、相変わらずこっちを見ないで携帯と睨めっこしてるみたいだけど。
「来週の土曜日の夜、俺ちょっと出てくから」
「どこ行くの?」
「前に紹介した幼なじみの池田っているだろ?あいつ最近結婚したみたいだからお祝いにプチ同窓会」
同窓会ね…。
ってことは
「ふーん。じゃあ、あんたが前に言ってたマドンナも来るの?」
「たぶん」
ビンゴ。
さっきから目を見ないのは罪悪感からだったとか?
学生の頃、彼のクラスに1人マドンナがいたのだ。
クラスの大半の男がその子にときめいていたらしくて
例に漏れず彼もその1人だったみたい。
…嫌ってほど聞かされたもん。
「あーでも、その子の周りは可愛い子ばっかだったなぁ。ムッチムチしたエロボディの子とか超絶な美人とかなぁ」
どれもこれも彼女前でニヤついて話す内容じゃないんだけど。