あなたはまるで刃物のように...

小さなアパート、部屋は数個しかない。

寝室には彼が買ったセミダブルのベッド。




ギシッ…

「はぁ、あぁ…」

目を見なくても会話はなくても欲情だけはするみたい。

「さっさと足開けな」



いつからセックスで感じなくなったんだろう。

それでも感じてるふりをしてる。

私も相当なバカ女だ。




「あぁ…あっ!」

ここが一階で良かった。

ベッドが軋んで雑音みたいでうるさい。



彼に別れを告げればこんなつまらない毎日は終わる。

入籍してる訳じゃないんだから簡単に姿は消せる。

けれど、それすらも出来ないのは


例え極寒だろうが、温かろうが私も1人になるのが嫌だからだろう。

中途半端な快楽と痛みでもいいから手放したくないからだ。



行為を終えた後、2人して風呂場に向かって汗と体液を流す。

今更裸を見られて恥ずかしいって訳でもないし。


「あー…なつき、お前さ…」

「ん?」


脱衣所でブラをつける私の体をマジマジ見ながら

「あと10kg痩せたらいい女なんだけどなぁ…」


冷め冷めとした捨て台詞を残し、さっさと寝室に消えて行った。


悪かったわね。








< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop