あなたはまるで刃物のように...
小さなアパート、部屋は数個しかない。
寝室には彼が買ったセミダブルのベッド。
ギシッ…
「はぁ、あぁ…」
目を見なくても会話はなくても欲情だけはするみたい。
「さっさと足開けな」
いつからセックスで感じなくなったんだろう。
それでも感じてるふりをしてる。
私も相当なバカ女だ。
「あぁ…あっ!」
ここが一階で良かった。
ベッドが軋んで雑音みたいでうるさい。
彼に別れを告げればこんなつまらない毎日は終わる。
入籍してる訳じゃないんだから簡単に姿は消せる。
けれど、それすらも出来ないのは
例え極寒だろうが、温かろうが私も1人になるのが嫌だからだろう。
中途半端な快楽と痛みでもいいから手放したくないからだ。
行為を終えた後、2人して風呂場に向かって汗と体液を流す。
今更裸を見られて恥ずかしいって訳でもないし。
「あー…なつき、お前さ…」
「ん?」
脱衣所でブラをつける私の体をマジマジ見ながら
「あと10kg痩せたらいい女なんだけどなぁ…」
冷め冷めとした捨て台詞を残し、さっさと寝室に消えて行った。
悪かったわね。