あなたはまるで刃物のように...
羽化



「はい?今何て?」



PM13:30。

私は職場の社員専用食堂で遅めの昼食を食べていた。

そこへ見計らったかのように電話を鳴らしたのは新一。


内容は

『だから、今日仕事帰りに俺のダチと飯食いに行こうって』


新一はいつもこうだ。

いきなり、突飛押しのない事を言ってくる。

今日って何よ。私の事情は?

別に残業の予定はないしプライベートの用事もない。

それに私は人見知りする方でもないからご飯ぐらい全然いいんだけど


『残業とか断れねぇ?彼女を紹介するって約束したし俺の顔立てると思ってマジ頼むわ』


残業はないけど…残業させる気もなさそうだ。

わかってるからこそ「勝手に決めないでよ」なんて反論する気も起こらない。

っていうか勝手に決めといて顔立てるもないだろうに。





「じゃあ、仕事終わったら連絡するから迎えに来て。百貨店の場所はわかるよね?」


ダチって誰だろう?

こんな風に前もって電話して来るって事はお祝い予定の池田君じゃなさそうだ。


会社の人かな?


新一は

私の予定なんて気にしてない。


思えば付き合った頃から新一が口にしたことは絶対事項だったな。



でも、一応友達に私を「彼女です」って紹介してくれる予定みたいだし

まぁ、悪い気はしない。

それに、連れてるだけでアクセサリーになるような女でもないしな、私。





食事の続きをしながら朝干して来た洗濯物の事を考えていた。



今日は1日中、晴れ。





 
 


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