あいしてる
「そんな顔しないで…」
あの日から1ヶ月。
明るい場所で傷痕を見せるのは、今日が初めてだった。
「…ごめん」
それだけ言うと、傷痕から目をそらした彼。
だから嫌だって言ったのに。
彼の哀しむ顔なんて見たくなかった。
身体を小さくしてうなだれる彼に近づき、そっと頭を撫でる。
「もう、気にしなくていいんだよ」
そんな言葉をかけてあげられない私。
もう痛くもなんともないはずの傷痕が、私を悩ませる。
彼を苦しめる。