あいしてる
「愛してる―…」
初めて傷痕を見た日から彼は言う。
そして、そこにキスをする。
彼の言う“愛のことば”を、私はそのまま受け止めてもいいのだろうか。
本当はもう、私のことなんて愛してないのに、この傷痕のせいで仕方なく隣にいてくれるのではないか。
そんなことを考えながら彼に抱かれる。
この先、この傷痕だけが二人を繋ぐ唯一のものになるのなら、願わずにはいられない。
彼を失いたくない。
だから、お願い。
どうか消えてしまわないで―…
【END】