あいしてる
「お決まりですか?」
水を運んできた店員の視線が抱えていた花束に移ったことに気づき、少しばかり自慢気に隣の椅子に置いてみせた。
「えっと―…」
メニューを広げ、注文しようとする彼に、
「のんびりしてる時間はないんだけど?」
と言うと、
「大丈夫。予約、キャンセルしてきたから。あ、コーヒーお願い」
何食わぬ顔で注文する。
キャンセル…?
「なんで?なんでそんな勝手なことするのっ!?信じられない。最低!」
今日が何の日か知ってるでしょう?
だから…花束まで用意してくれたんでしょう?