あいしてる
彼を睨みつけ、待っていた。
私を納得させられるような、彼からの言葉を。
「メシどころじゃないと思って」
いつもなら、はっきりと物事を言う彼が、今日はやけにもったいぶる。
「それじゃ、わからないでしょ?はっきり言ってよ。なに?なんなの?」
期待はずれの言葉と、いつもと違う彼の様子に、苛立ちと不安が交互に押し寄せてくる。
たまらず煙草に手を伸ばし、火をつけた。
「できた」
彼は観念したかのようにそう言うと、長く息を吐き出し、水をひとくち口に含んだ。
『できた』
いくら付き合いが長くても、そんな短い言葉では理解してあげられない。