あいしてる


予約をキャンセルするほどのデキモノ?


吸い込んだ煙草のけむりをゆっくりと吐き出した私は、

「なにができたわけ?」

真っ直ぐに彼の目を見ることができずに、灰皿に落とした煙草の灰を眺めていた。

咳払いをひとつした彼が、

「……こども」

想像もしなかった言葉を口にした。

「オレ、父親だって」

そう言って自分で自分を指さしたあと、その指で鼻のあたまを掻いて苦笑いをした。

「……う、そ…」


こども…?

父親?

…彼が?


思わず自分の下腹部に手をあてた。


私が母親なわけがない。

自分がよくわかってる。


「それって…」


つまり、私以外に…?

< 20 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop