あいしてる
予約をキャンセルするほどのデキモノ?
吸い込んだ煙草のけむりをゆっくりと吐き出した私は、
「なにができたわけ?」
真っ直ぐに彼の目を見ることができずに、灰皿に落とした煙草の灰を眺めていた。
咳払いをひとつした彼が、
「……こども」
想像もしなかった言葉を口にした。
「オレ、父親だって」
そう言って自分で自分を指さしたあと、その指で鼻のあたまを掻いて苦笑いをした。
「……う、そ…」
こども…?
父親?
…彼が?
思わず自分の下腹部に手をあてた。
私が母親なわけがない。
自分がよくわかってる。
「それって…」
つまり、私以外に…?