あいしてる
頭の中が真っ白になり、それ以上の言葉を発することができなかった。
身体の奥底がだんだんと熱くなってくる。
泣き叫べばいいのに、それすらできない。
灰皿に煙草を押しつけた彼が、ゆっくりと口を開いた。
「おまえには悪いけど、責任、とろうと思って」
責任?
責任って…?
私は?
私はどうするの?
「ごめんな」
頭を下げ謝る彼。
なにも考えられない。
なにを考えればいいのか、わからなかった。
ただわかるのは、目の前に座る彼の姿がぼんやりと滲んでいくことだけ。
長い間一緒に過ごしてきたのに、今はもう、目の前の彼のことがわからなくなっていた。