あいしてる
「ごめん、な…」
そう謝られても、簡単に許せることではない。
彼だってそれくらいわかっているだろう。
それなのに、バカみたいに何度も謝る。
今、私が望んでいるのはそんな言葉じゃない。
「悪い…けど…。考えさせて…」
考えたって答えが出るのかは、わからない。
だけど、今はそう言うしかない。
「いいよ。別れましょう」
そんなことを言う気にはなれなかった。
「…お待たせしました」
先ほどの店員が気まずそうな表情でコーヒーを運んできた。
「……帰る」
立ち上がり、椅子に置いたバッグとコートを乱暴に手に取ると、大きな花束が音を立てて床に落ちた。