あいしてる


だらしない人だけど、いいところもたくさんあった。

どうしようもない彼を、幸せにしてあげられるのは私しかいないと思っていた。


私には彼が“すべて”で、彼もそう思ってくれているのだと信じていた。


だって、

『愛してる―…』

何度も言ってくれたじゃない。

『ずっと一緒にいよう』

約束したでしょう?


彼と過ごした日々を、

彼がくれた、たくさんの言葉たちを、

つらく、かなしい思い出にしたくない。

心の奥底にしまい込みたくないのに。


こんな終わりがくるのなら、欲しくなかった。


『愛してる―…』

何度も囁いてくれたのに

なぜ?

なぜ、私以外の人を選ぶの?

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