あいしてる


あの日から二週間。

彼とは一切の連絡を取らず、考えていた。


私と過ごした5年の月日と、相手の中にある小さな命とでは、どちらが大事?

と、バカみたいに比べてみたり。


5年も一緒に過ごしてきたのに、彼の心の変化に気づけなかった。
私は彼のなにを見てきたのだろう。

と、自分を責めてみたり。


日が経つにつれ、彼への苛立ちが遠のいてはまたぶり返す。

そんな日々を過ごしていた。

『確かめたいことがあるの』

そう言って彼を呼び出したのは、めずらしく暖かな陽射しが降り注ぐ、日曜の午後のこと。

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