あいしてる


少しクセのある親友の髪にそっと手を伸ばした。

頭を掻いた拍子についた砂を手で払ってみるけど、あたしの手も砂まみれで、払っても払っても髪についた砂はきれいに落ちなかった。


「だってさ…。考えても考えても…“あんたを失いたくない”……それしか浮かんでこないんだ」


“バカか。おまえは…”

あんたの言葉も、

あんたが吐き出す煙草のけむりも、

あんたの隣でバカみたいに笑う自分も、

あたしは失いたくない。


ゆっくりと顔を上げた親友とは逆に、俯いたあたしの目からは涙がとめどなくこぼれ落ちる。

「この感情が…あんたに抱いてる感情が、友情なのか、それとも…愛情なのかわからない。だから…」

何度も頬をつたう涙を拭うあたしの頭に、親友の大きな手のひらがそっとのせられた。

「教えてよ…。あたしは…どうすればいい?」

< 38 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop