あいしてる
親友の大きな手のひらがあたしの髪をくしゃくしゃにしていく。
「ほんっとにバカだな。おまえは救いようのないバカだよ。……オレの答えなんてひとつに決まってんだろうが」
「……バカでもわかるように説明してよ」
そう言い終える前に、あたしは親友に抱きしめられていた。
「友情でも愛情でも、どっちでもいいから…オレの女になってよ」
親友なんかじゃない。
今あたしを抱きしめているのは、間違いなくひとりの男だ。
「ほんとに…それでいいの?『やっぱり友だちのままでいればよかった』って…後悔しない?」
彼の背中に手をまわすこともできずに、あたしはただ、彼の腕に包まれたまま不安な想いを口にした。
「しないよ。……と言いたいところだけど、先のことなんてわかんねぇしなぁ。…とりあえず、後悔しないように努力するまでだ」
くしゃくしゃにしたあたしの髪を、今度は優しく整えていく。