あいしてる
「大丈夫。…大したことないから」
ズキズキと痛みはあるけれど、思ったほど赤くはない。
これくらいなら冷やしておけば大丈夫。
この程度のやけどで騒ぎ立てたくない。
これ以上、彼に心配をかけたくなかった。
バスルームの鏡には、絶えず水を浴びせられる私のおなかと、一番のお気に入りだというジーンズを履いた彼の長い脚だけが映る。
しばらくすると、
「……ごめん」
その言葉だけを残し、彼の脚は鏡の中から消えてしまった。