あいしてる


「大丈夫。…大したことないから」

ズキズキと痛みはあるけれど、思ったほど赤くはない。

これくらいなら冷やしておけば大丈夫。


この程度のやけどで騒ぎ立てたくない。

これ以上、彼に心配をかけたくなかった。


バスルームの鏡には、絶えず水を浴びせられる私のおなかと、一番のお気に入りだというジーンズを履いた彼の長い脚だけが映る。

しばらくすると、

「……ごめん」

その言葉だけを残し、彼の脚は鏡の中から消えてしまった。

< 7 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop