あいしてる
シャワーを止め、バスルームから出ようとした私の耳に、玄関のドアの閉まる音が飛び込んできた。
慌てて彼の姿を探したけれど、狭い部屋の中にはただ、つけっぱなしのままのテレビから流れてくるタレントの笑い声と、ヒーターの音だけが響いていた。
びしょ濡れだった服を着替え、いつ作られたのかわからない氷をビニール袋に落とし、少しばかりの水を注ぐ。
急に不安と孤独に襲われて、袋の口を縛る指先が震える。
ベッドに横になり、ズキズキと痛み出した部分を冷やす。
彼のいない部屋で、ぼんやりと滲んでいく天井を眺めながら。