あいしてる
「…ただいま」
玄関のドアを開け、小さな声でそう言った彼は、近所にあるドラッグストアのビニール袋をぶら下げていた。
「どれがいいのかわからないけど…」
袋の中に手を入れて、ガサガサと音を立てながら部屋にあがり、ベッドの側に座り込んだ彼。
袋から次々に消毒液やガーゼを取り出し床に並べた。
「…こんなにも?…お店の人に聞かなかったの?」
「聞いてる余裕なんて、ないよ」
10分とかからず戻ってきた彼の額には、うっすらと汗が滲む。
「……ごめんね」
と謝る私に、
「謝るのは俺のほう。…ごめんな」
そう言って私の手を握った。