手紙
 私は手を止めて、箱の中から手紙を取り出した。少しだけくせのある右上がりの字が私の心を激しく動かす。

【なっちゃん。 この間は電話くれてありがとう。風邪引いてたから、あんまり長く話せなくてごめん。
でも、声聞いたらすぐに元気になれたよ!
 今度こっちに帰ってきた時には、また会おう。期末テスト、がんばれよ!応援してるから! 】

【ドライブ楽しかったね。またあの海へ行こうよ。ずっと一緒にいたいって思ってる。】

【今日、なっちゃんのお母さんを見かけたよ。なんとなく気まずくて、逃げちゃったけど。
 俺がもっとしっかりしてたら、堂々と彼氏ですって言えるのにね。
 やっぱりこの町では、俺たちの関係って珍しいものを見るような視線しかもらえない。
 家のこととか落ち着いたら、2人で静かに過ごせるところに行きたいなって思うよ。】

【離れてるってことが、こんなにつらいって思わなかったよ。
 今すぐなっちゃんに会いたい。】

【週末、時間があったら会おう。これから俺たちがどうしていくべきなのか・・・ゆっくりと話したい。】


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