手紙
 最後のデートの日。

 私は、彼の言葉をひとつひとつかみしめながら聞き、何も言えないまま黙っていた。

「いつか、本当に周りの人たちが認めてくれるようになったら・・・そのときはもう一度やり直そう。」

その言葉と、心のこもった優しいキスで私たちはさよならした。



 そのまますれ違った私たちの糸はぷっつりと切れてしまい、二度とつながることはなかった。



 一生に一度の激しい恋だったと思う。



「なつ~、コーヒー入ったから少し休憩しようよ。」

 夫の声で現実に戻る・・・。

「は~い。」


 私は、手紙をそっと箱の中にしまって部屋を出た。

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