ナイトメア
…――ああ、気持ち悪い。
吐き気がする。

不意に感じた胃の焼け付くような痛み。それを無視して机に無造作に置かれていた煙草とライターを手に、窓際へと移動する。

締め切っていたカーテンを開けると、夜の街はいつもと変わらず賑わっており、街明かりは華やかに輝いていた。

カチッ、カチッ、渇いた音を立てるだけのライターは火をともさない。夕方、オイルが切れたことを思いだし、くわえていた煙草を戻す。


“煙草は嫌いよ”


不意に、そんなふうに言って笑った女のことを思い出した。
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