ナイトメア
白い肌に、華奢な身体。
高く澄んだ声で“好きよ。”と言ってくれた彼女。

僕だってとても好きだった、けれど。今、彼女は、もう、存在しないのだ。

そこまで思考を巡らせて、ずきり、とまた胃が痛んだ。巡る思考が悪夢と重なり、胸がつかえて上手く息ができなくなる。

短い呼吸を繰り返して息をただしながら、気道を塞がれた彼女はどれほど苦しかったのだろうかと、ぼんやりと思った。

光が溢れるような、昼下がり。
心地好い春風がカーテンを揺らす部屋で、僕はあの日、彼女の首に手をかけた。
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