ナイトメア
全部全部、嘘であれば良かったのに。
そうであれば僕も彼女も、きっと幸せだったのに。


“あなたを裏切るくらいなら、裏切る前に、あなたの手でわたしを殺して。”


共に歩むことができないと知ったあの日、そう言って笑った彼女の顔を、今でも忘れられない。


“わたしには、あなたしかいないのに。”


それが彼女の願いならと、受け入れた僕も僕だけれど。きっと僕自身、彼女が彼女の意に反して、僕以外の誰かの元に行ってしまうのは許せなかったんだ。
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