Realtime:kiss

涙が頬を幾重の線を描きながら流れ落ちる。


あははっ……


何だ?この結末……



今時のドラマでもこんなエピローグ、誰も描かないって……



やっぱり男前は信用出来なかったよ…



学習能力無さ過ぎだっつうの…



心のどこかでそんな声が聞こえた気がした……



辞めよう…


とてもじゃないけど同じ会社で働く事なんて出来ない。


打たれ弱い。私は打たれ弱いんだ。


早いに越した事はない、握り締めていた携帯から会社に電話しようとして、もうとっくに退社時間を過ぎている事に今更ながら気が付く。


時計の針は23時をまわっている。



あははっ、本当に馬鹿だな私…



眠れぬ夜を過ごした翌日、私は始業時間を待ち、会社に電話を入れた。


しかし、無情にも留守電の優しい女性のアナウンスが聞こえるだけだった。



間抜けな私は今日が土曜日だという事にやっと気付く始末…



こんな日は家でくすぶっていても仕方ない。


新しい仕事でも探しに行こう、そう決めて、出かける準備を始めた。








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