Realtime:kiss
勿論専務だって、そう簡単に口を割るわけもなく、陽子は、一会社員ではなく、娘として、娘の親友の身を案じ、それを知りうる父親に話してると切り返したらしい。


陽子らしい…


『全く、一体どこでそんな悪知恵覚えたんだか…』


と呆れながら『口外無用、分かっているな!?』と、念を押され、話してくれたらしい。


蒼佑は携帯の例の写真データをPCに転送し、プリントアップし、それを専務に渡したようで、陽子もそれを見たみたいだった。


「親が言ってた、一歩間違えば訴訟騒ぎになるって…」

え?

「なんで訴訟騒ぎになんか……」


「だって、考えても見なよ、服は着ていてもなんかはだけてたし、浅野が無理矢理ラブホに連れ込まれて写真撮られたって、開き直られでもしたら……
分かるでしょ?
あの社内メールにしても脅されてやったとか、しらを切れたら、それこそ万事休す…

だから、言ってた。

そこまでして守りたいんだなって、うちの親、碕岡さんの男気に惚れちゃったみたい…」


と陽子は続けた。


考えもしなかった。



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