Realtime:kiss
椅子を出し腰掛けるように言われ、言葉に従う。
神崎主任は膝の上でノートパソコンを操作し、それを私に見せながらこう切り出した。
「正直に答えて下さいね。
まず、咲宮さん、この画像に映っているのは誰だと思いますか?」
私は正直に答えた。
「私、です」
「……ではこの写真に写っているのはあなたですか?」
「私ではありません!」
即答した。
「……では浅野さん、あなたはどうですか?」
彼女は唇を噛み締め、何かに耐えるよう、膝の上の両手を握り拳に変え、スカートを掴んでいた。
何も答えない彼女をジッと見据えていたが、主任ははぁと短い溜め息を漏らした後、質問を続けた。
「……では、この会話に聞き覚えはありますか?」
そう言ってパソコンを何やら操作した。
『うっそっヤッタじゃん!
これで碕岡蒼佑は墜ちたも同然だよねぇ』
『ちょっと!声がおっきいって…
誰かに聞かれたらどうすんのよ!
でもまぁ、あたしが本気になったらこんなもんよ!あははっ
……、でもさぁ、碕岡蒼佑、まだ未練あるみたいなんだぁ、あのムカつく女に……』