Realtime:kiss
「申し遅れました、わたくし、碕岡蒼佑と申します」

そう言って、まず父に、そして母に背広の内ポケットから出した名刺入れからそれを取り出し、渡した。


「碕岡、さん、ですか…
失礼ですが…「むっ、娘とどんな関係なんだ!」


母の言葉を遮り、父が大声で怒鳴った。

「おっ、おとおさん!」

母がヒヤヒヤしながら父を宥める。


「やっ、やだなぁ、お父さん、早とちりだってぇ、私とそうす、碕岡さんは職場が一緒なの!
いわば、同僚?かな、ねぇ碕岡さ…「はい、よいお付き合いをさせて頂いております」


私の言葉に被せ、彼はそう言い切った。



はあぁあああああぁあ!?


私は鳩が豆鉄砲でも喰らったように、目を大きく見開き蒼佑を見た。


「よっ、よっ、よいお付き合いだとおおおぉお!?

きっ、貴様、よくもそんな「あらぁあああ、そうなんですかぁあああ!
もおぉお、奈緒ったらぁ、そんな人いるなんて、一言も。
あらあらあらあぁ、そうなんですのおぉお!?
奈緒と、ねぇえ…」


今度は母が父の激高した暴言を遮り、父を押しのけ、うっとりしながら蒼佑を見ていた。





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