Realtime:kiss
「お母さん達、会計で支払い済ませて帰るから。あの、碕岡さん、悪いんですけど、この子、家までお願いでしますかね?」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ父の背中を押しながら、母は蒼佑にそんな事を頼んでる。


「ちょっと、お母さん、あたし、暫くそっちに帰るつもりなんだけど…」

「ああぁ、帰ってこなくていい!……」


母は私に近付き、小さな声でこう続けた。


「お母さんは、あんたにいい人がいないと思って…
マンションで一人は不敏かなぁって思ったから、帰っといでって、言ったけど……
イケメンって言うの?
こんな素敵な良い男がいるんなら、ホント帰ってこなくていいからねっ」



私から離れた母は、蒼佑に愛想笑いを浮かべ、去っていった。


「面白いお母さんだな。
奈緒の未来の姿が想像出来る」

キッと蒼佑を睨み付けたけど、それも直ぐに残念する。


よいお付き合いを……


一体蒼佑は何を思って両親にあんな事を言ったのであろうか…




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