Realtime:kiss
「言いたい事があるんなら言えよ、ったく…」

…っ…


私はその一言に切れてしまった。

「ったくって言った?

舌打ちしたよね?もういいよ!

ここでいい!車止めて!」

すると、ビックリしたのであろう、急に大声を出した私をジッと見て、路肩に車を寄せた。


「何だよ、大声だすなよ、ビックリすんだろうが」


私は無言で車を降りる為シートベルトを外し、ドアを開けようとしたが、ロックがかかっていて開かない。


「なに膨れてんだよ……」


ダメだ、涙こぼれそう…

私は窓に顔を向け、蒼佑の問いには一切答えなかった。


退院したその日に連れ回すなんて、私には理解出来ないし、ましてや、両親に交際宣言した、その足で、何が飯食うだ!


「おい、奈緒」

いきなり蒼佑に右腕を引っ張られ、涙ぐむ私の顔を見られてしまった。


「……何泣いてんだよ、…
わかんねぇって
言ってくれなきゃわかんねぇ」


そう言って、掴んだ私の右腕を自分の方に更に引っ張り、抱き締めてきた。


「やだっ、止めて!
分かんないのはあたしの方だよ。
蒼佑君、なに考えてんの?」



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