Realtime:kiss
冷蔵庫の前、蒼佑は私に覆い被さるように逃げ場を与えない。


「聞きたい事があるならハッキリ聞けよ」


「怒鳴らないでよ、聞こえてるし…
あたしが聞きたいのは……」


「聞きたいのは?」


ゴクン……


「あたしが聞きたいのは……蒼佑君の気持ちだよ…」


しばらく沈黙が続いた。


不安になった私はチラチラと、蒼佑を盗み見る。


何度となくそんな行為を繰り返していると、蒼佑と目ががっつりとあった。


「……その目つき、止めろ……」


そう言った後、左手で口を覆って、横を向いてしまった。


「そんなに言葉が大事?」


この期に及んで、まだそんな事を言っている。


つい今し方、車の中で、言ってくれなきゃ分かんないと言っていたのは蒼佑じゃない。


「わかった、聞きたいんだろ?
その代わり、お前も、言えよ」


腰に手を回され、リビングへ誘われた。


ソファーに座らされ、自らも座る。





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