Realtime:kiss
「ほら、にやけてないで」


私に両手を差し出し、お皿を受け取れと言わんばかりだった。


「うわぁあ…美味しそう…」


蒼佑は私にお皿を渡し、またキッチンに行ってしまった。


「旨そうじゃなくて旨いんだっつうの」


そう言いながら今度は小さめのサラダボールを両手に戻ってきた。


「…だって、蒼佑君が作ったもの、食べた事、無いんだもん、美味しいかどうか、分かんないし…」


「あっそっ、んじゃ、食うな」


なんて言われてしまった…


しゅんと下を向く私に蒼佑はあははっと笑った。


「炭酸水でいいか?」


そう言ってまたキッチンに……


ほんと、上げ膳据え膳って、こういう事をいうのかな、私は完全お客さん状態。


グラスを2つ片手に、炭酸水が入っているであろう瓶を2本片手に再びリビングに戻ってきた。


「まぁ、なんだ、食ってみ?」


蒼佑はソファには座らず、床に座りグラスに炭酸水を注ぎながらにっこり笑って私を見た。


「い、いただきま、す…」




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