Realtime:kiss
ドキッ…

今度は上になってる私の右腕をゆさゆさ揺らす。


私はゆっくり寝返りを打ち、蒼佑の方を向いた。


「なぁお。何で俺の顔、見ねぇの?」


「ばか、見てるよ…」


なんて嘘…


こんな暗闇で、私がどこ見てるかなんて、分かる筈ない。

「おぃ、ちゃんとこっち見ろよ」

私は蒼佑の右手により顎を持たれて強制的に上を向かされた。

「ちょ、何す……」


瞑っていた目を見開いた時、すぐ間近に、10センチと離れない距離に、蒼佑の顔があった。


「暗くてどこ見てんのか、分からねぇとでも、思ったのか?やっぱお前は馬鹿奈緒だ」


息遣いが、蒼佑の息遣いをこんなに近くで感じるなんて……


「人間の目はさぁ、暗くなった一瞬は瞳孔の収縮がついて行かなくて見えねぇけど、少し時間が経つと暗さに瞳孔が開いて、見えるんだよ、ばぁか」


「そそそんなの、あたしだって、知ってるし!」

はぁ、また、言っちゃったよ、私のこの憎まれ口叩く口をどうにかしなきゃ…




< 188 / 266 >

この作品をシェア

pagetop