Realtime:kiss
「分かりました。でも、…必ず戻って来て下さいね?」


そして私は営業部へと足を向けた。


営業部の事務所は、何やらあちらこちらでざわついていた。


『まじかよ…』
『自分から、らしいぜ?』
『女一人の為に出世棒に振るかよ、普通…』


そんな言葉が耳につく。


『おい、噂をすれば…あの女だろ?』
『よく顔出せたもんだよな、信じらんねぇ…』


・・・・・・


私は手をぎゅっと硬く握り締めた。


「おはよ、奈緒ちゃん。奈津紀に用?」


ポンと後ろから肩を叩かれ、振り向くと山中さんが立っていた。


「おはようございます、…
今日は山中さんに用があってきました」


「う~ん、困ったなぁ、僕、これから朝礼しなきゃなんないんだよねぇ…
10時の休憩時間じゃ、ダメかなぁ?」




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