Realtime:kiss
山中さんは腕時計に目をやりながら、少し困った顔をした。


「いえ、私も出社早々、朝からさぼる気は無いんで……いいですよ、休憩時間で……」


「ありがと、助かるよ、じゃ、社食で待ってて、後でね…」


山中さんは右手をヒラヒラさせ、事務所に入っていった。







「で、用って、何?蒼佑の事?」

私は黙って頷いた。

「……奈緒ちゃん、これだけは言っとくけど、君のせいとか、そんなんじゃないからね?
誤解のないように、聞くんだよ?」


「誤解がないようにって、実際問題、それが原因なんでしょ?」


私は回りくどい言い方をする山中さんにイラつき、声を荒げた。



「落ち着いて、奈緒ちゃん」


ぷいとふてくされて横を向く。


自分から山中さんに用があるって言っといて、矛盾してるけど…


「社長に直談判したんだよ、蒼佑の奴…
君が浅野に突き飛ばされ、病院に運ばれた日……
責任を取るって、辞表を提出したんだ……」


っ!!!!!!!




< 193 / 266 >

この作品をシェア

pagetop