Realtime:kiss
「……陽子?気にしないでいいんだよ?」

私は奈津紀が険しい声を出したので、割って入った。

すると、ポロポロ涙をこぼしながら、嗚咽を始めた陽子。

「ごっ、めん…ごめんねぇ奈緒ぉ…ヒック…ごめん……」

やっぱり、知ってたんだ。

「分かってるから、泣かないでよ」

世間知らずな私でも、分かるよ、陽子。


私の気持ち知ってるから、この前みたいに、統合の時みたいに話せなかったんだと思う。

「ちょ、何よっ、奈緒!
いいの?陽子、あたし達に隠し事してたんだよぉ⁈」


空気の読めない奈津紀が憤慨しているが、そんな事、どうでもいい。


夕べ、もし、陽子から蒼佑の転勤話を聞かされていたら、きっと陽子に八つ当たりをしていたに違いなかった。


数時間前、山中さんにしたように…


「陽子の口からでなくて良かったよ?山中さんにある程度経緯も聞けたし……
気にするな、陽子」


「ちょ、何?あんた、圭吾といつの間にっ、こら、奈緒!」


今度は矛先を私に変え、憤慨する奈津紀…


あんたって子は……






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