Realtime:kiss
「変な奴だなぁ…
てか、腹、減らねぇか?」


「はら、へった」


「ぷっ、やっぱ、今日のお前、変だわ」


そっと私と距離をとり、今度は私の肩に蒼佑が回す腕の重みを感じながら、蒼佑の家に向かって歩き出した。





「なぁ、奈緒。今日、会社で何かあっただろ?」


食事を終えて、テレビを付けて、ソファに座り、私は蒼佑にまとわりついていた。


そんな私の肩に左腕を回し、髪を弄る蒼佑。


「……何かって、なぁにぃ?」


私は覇気のない声で答えた。


「………知ってんだろ?」


「…だから、なにをぉ?」


何故だか目頭が熱くなってきた。


「俺の転勤の事…朝、連絡があった…一日付けで辞令が……」

蒼佑がそこまで言いかけた時、私は蒼佑に回した手に力を込め、ギュッと抱き付いた。


「こら、苦しいって…奈緒、顔上げて?」


ブンブン首を振り、また腕に力を込めた。


「なぁお…お願いだから、俺に顔見せてよ…」


空いてる右手で、蒼佑は私の顎をソッと上に上げた。



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