Realtime:kiss
「っ!」・・・なっ、何で、何で!?
「・・・聞いてんのかよ。俺だよ、おぉれ、碕岡」
「わっ、分かってるわよ!いちいち名乗らないでよ」
受話器に手を添え、小声で怒鳴った。
「嬉しいねぇ、声だけで俺だって分かるんだぁ」
はっ!墓穴ぅ・・・
「ばっ、何言ってんのよ。ばっかじゃないのぉ!そんな事ばっか・・・用がないなら切るわよ」
冷やかしでかけてきたとしか思えない、この電話。受話器の向こうで何か叫んでいたけど、私は周りに気付かれぬよう、冷静を装いながら静かに受話器を置いた。
RRR・・・
「ありがとうございます、住菱商事経理課、咲宮でございます」
「勝手に何切ってやがる!」
電話に出た途端、大声で怒鳴られた。
「用があるからかけたに決まってんだろうが」
碕岡蒼佑だった。
ハッキリ言って、私はウンザリしていた。
「仕事中なんですけど・・・」
つっけんどんに返した。
「今週末、空けとけ。金曜にまた電話する、じゃ・・・」