Realtime:kiss
結局、家にたどり着いたのは、空が白み始めた頃だった。


車を降りる前、何度も何度も口付けを交わし、名残惜しそうに蒼佑は帰って行った…


部屋に入り、シャワーを浴びる最中、夕べの情事を思い出し、身体が熱くなる。


「ウッ…ウッ…」


シャワーを頭から被り、声を殺して、泣いた…




出勤時間迄、まだ時間はある。


蒼佑と過ごせる時間は今日と明日。一日分の着替えを鞄に詰め込み、ベッドに横になる。


こんなんじゃダメだ…

今生の別れでもあるまいし、会う気になれば直ぐに会える。


それに、週末はこっちに戻ってくると言っていた。


要は気持ちの持ちようだ。


パンと頬を叩き、私は出勤準備にかかった。


会社に着くと、すれ違う女性社員から、あから様というか、これ見よがしに厭味を言われた。


私は聞こえない振りをして、事務所に急いだ。


「先輩!! おはようございます。

・・・大丈夫、ですか?」




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