Realtime:kiss
今夜も私は蒼佑の腕の中にいる。


寂しくなった時、逢えなくなった時の分まで、もっともっと……

人気のバンドが歌う歌を思い出していた。


いつの間にか、私は蒼佑を、君付けで呼ばなくなっていた。

「ねぇ、引っ越しの準備、しなくていいの?」

ベッドの中でまどろみながら蒼佑に聞いてみた。


「ん~、しなくていいのぉ」

甘えた声が頭の上から聞こえた。

「週末はこっちだし、スーツとワイシャツ、下着位しか持っていかない」

そう言う蒼佑をジッと見つめていた。

「でも…お父さん、お母さんは?連れて行ってあげないの?」

「ん~ん…その話はまた後で…奈緒…も一回…な?」


言い終わるなり、熱いキスが降ってきた。


他の、何も考えず、ただひたすら蒼佑の肌の温もりだけを感じていた。


好きな人の肌に触れ、また触れられる事の幸せを実感していた。


ようやく眠りについたのは、明け方近くだった。


朝、目が覚めた時、隣に居るはずの蒼佑の姿はなかった。


時計に目をやると、午前9時を回っていた。




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