Realtime:kiss
「……行かない」
行けないよ、蒼佑。
私はここで蒼佑が戻って来るのを待つと決めたんだ。
だから…
行かない…
「ん…奈緒はそう言うの分かってた、ただ、言いたかっただけ……
気にすんな」
蒼佑が転勤を申し出た時、私達の関係は微妙で、だからただ単に私を降り注ぐ火の粉から守りたかったとこの前言っていた。
でも、今は…
今の状況は、私が問い詰めた事により、一変している。
互いの気持ちが分かり、もっと互いを知りたくて、確かめたくて、肌を重ね合わせた。
離れたくない……
それは、気持ちを通わせたばかりの男女が抱く、ごく普通の感情。
離れれば離れた時間だけ、互いを疑う、不安になる…
今の私達は、そんな状況を乗り越えなければ、二人に未来はない。
「奈緒は、強いな……それに引き換え俺は……」
カップをテーブルに置き、私の持っているカップもテーブルに置き、蒼佑は私の肩をギュッと掴み自分の方に引き寄せた蒼佑。