Realtime:kiss
「えっ!?えっ!?えぇえええぇえ!?」


何を言い出すかと思ったら……それって、どういう、意味?


私は聞きたくて聞きたくて、でも蒼佑は立ち上がると、カップを持ち、窓際に行ってしまった。

先程まで抱きしめられていた身体が熱を下げていく。

おもむろに立ち上がり、私は蒼佑の背中にそっと顔を寄せた。


蒼佑の体に力が入るのが伝わる。


「…分かった…すぐには無理だけど、来月には…
ここで、蒼佑の育ったこの家で待ってるから……」


蒼佑のお腹の方へ腕を伸ばす。

すると、蒼佑は私の手を包み込むように、優しく握ってくれた。

「お父さん、お母さんと、ここで待ってる」

蒼佑は何も言わず、私の方に体の向きを変え、カップを持たない左腕を、私の首に巻き付けて抱きしめてくる…


「ありがとう、奈緒。安心して行ける…」

私のおでこにキスをしながら優しい声でそう言った。


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